こんにちは、Q太郎です。
2024年のVNインデックス指数は直近高値の1300ポイントを回復することはありませんでした。
しかし、昨年1年間の下値は少しづつ切りあがっていることは見逃せない点です。
2月に入り各社の業績も出そろいつつありますので、2025年のベトナム株式市場を展望するには良い時期です。
私が注目しているセクターは3つ、それはIT、ゴールド、証券会社です。
出所:SBI証券
目 次
2024年はベトナム株式市場はボックス相場、しかし変化の兆しも。
2024年は正にボックス相場、青い四角がボックス相場になります。
出所:SBI証券
市場を取り巻く不透明感がボックス相場の原因
一般に株式市場でボックス相場になる背景には、市場を取り巻くマクロの複合要因が原因です。
・書記長交代による政治的不透明感。
2024年8月3日に新書記長のポストにトーラム国家主席が選出されました。
市場とは不確実性を嫌う傾向にあり、トーラム書記長が市場に対しフレンドリーなのかどうか判断を しかねていることが要因の1つです。
最近になってトーラム書記長の経済を加速させるさせる一面が伺える報道がありました。
出所:日本経済新聞
昨年末の東京でのベトナム株投資家オフ会にご登壇いただきました、著書 「 日本人の知らないベトナムの真実 」を執筆された川島博之先生も、役人の給与の低さが汚職の根底にあることを指摘されておりました。
今回の組織再編は、組織再編によるリストラと残った役人の給与改善、結果汚職減少と行政手続きの効率化の2兎を目的としている点が、前書記長グエン・フー・チョンの手法との大きな違いです。
同じ汚職撲滅でも前書記長は粛清の強権を振りかざしました結果、組織は戦々恐々として組織は硬直化し、経済活動が停滞する結果となりました。

この人は物事の原因と結果を理解できる聡明な人ですね!

原因は薄給、結果は汚職
トーラム書記長は汚職の根本原因を断つことが、汚職解決の近道であり、組織が効率化し経済運営もスムーズになることを理解してります。
従って新書記長の政策が市場フレンドリーであることが市場に理解されることはそれ程時間がかからないと思いますし、そしてそれが不透明感を払拭していくことに繋がると思います。
・トランプ大統領の関税政策
この問題はベトナムだけでなく、各国が非常に危惧しているテーマだと思います。
メキシコとカナダに対する関税は2月4日に1ヶ月延期となりましたが、中国については2月4日に10%の報復関税をアメリカからの輸入品に課すことを実行しました。
やはり面子を重視する中国政府はすんなり譲歩できない国民性が伺えます。

中国政府の面子の為に、下々の者は知恵が必要ですね!
面白いのが中国には「上に政策あれば下に対策あり」(上有政策,下有对策)という格言があります。
長い歴史の中で、政府に振り回されてきた庶民はしたたかにその政策の網を搔い潜り、対応してきた歴史があります。

中国ビジネスマンは世界最強のタフさを備えています。

つまり迂回地を経由する訳ですね!
中国からの輸出品に追加関税をかけるのであれば、どちらかの迂回経由地を使うことになります。
つまり、チャイナイプラスワンと目されているベトナムに工場を移すことが加速する公算です。
資産運用会社ピクテジャパンが興味深いデータを報告しておりました。
出所:PICTET
上図は、日本貿易振興機構 アジア経済研究所(IDE-JETRO) が、公約発表時点で第2次トランプ政権が掲げる関税引き上げが各国・地域のGDPに及ぼす影響を分析したものです。
やはりサプライチェーンの分散化により、特にインドやアセアン各国は好影響を受けるとの分析結果です。
・世界中の資金を引き付ける米国市場
やはりベトナム株式市場の上値を抑えているのは、今や一強状態の米国経済とその株式市場です。
またトランプ政権の政策はインフレを再燃させるものが多く、政策金利も高止まりする懸念があります。
そうなると金利の低いところから、金利の高いところへお金は流れる原則に従えば、世界中の資金は米国に吸い寄せされます。

お金は金利の低い国から高い国に移動するのが原理原則です。
昨年11月に新興国株式市場から大量の資金が流出したことが報じらておりました。
出所:日本経済新聞
最大の流出市場が中国株式市場であったことが報じられておりました。
これは中国株の長期低迷にガマンの限界が来ていたところに、2024年9月の中国政府金融緩和政策と不動産や株価のテコ入れ策に反応して暴騰した株価に、損切の覚悟が定まった投資家が多かったのではと推測されます。
次のチャートは中国の代表
出所:SBI証券
中国政府の政策への期待度が低いことが、9月以降じりじり値を下げていることからも伺えます。
また昨年新興国株市場で最も人気を集めたインド株は、その加熱感から9月末に高値天井を打ち、一転して現在も下落が止まらない状況です。
出所:楽天証券
昨年暴騰したインド株ですが、これは株価が永遠に上がり続けることがないことを示唆しております。
一方でボックス相場ではあるが下値を切り上げつつあるベトナム株式市場もボックス圏から上抜ける日も近いと予想されます。
長く続いたボックス相場にも変化の兆しあり
ベトナム株を10年振り返ると過去に1度ボックス相場がありました。
出所:SBI証券
ボックス相場はエネルギーが凝縮し易く、その後は大きくトレンドが現れます。
2019年に続いたボックス相場は2020年のコロナで一時的に大きく下落するものの、その危機をトリガーとしてその後大きく反発しました。
・予想以上に良かったベトナム2024年のGDP
ベトナム株の情報サイト、「 VIETKABU 」ではベトナムの2024年のGDP成長率を紹介しています。
出所:VIETKABU
昨年の年初は悲観的な見通しが多かったのですが、終わってみれば驚きの7%越えのGDP成長率でした。
4半期ごとのGDP伸び率(前年同期比)は以下の通りです。
- 1~3月期 :+5.98%
- 4~6月 :+7.25%
- 7~9月 :+7.43%
- 10~12月:+7.55%
このGDPの増加率を見れば、なぜVNインデックスの下値が切りあがりつつあるのかが理解できます。
・半導体先行指数SOX指数が示す光明
次の表はJETOROが公開しているデータですが、ベトナムの輸出品目占める「 コンピュータ電子製品と同部品 」と「 電話機と同部品 」の割合いが如何に大きいかが理解できます。
出所:JETORO
ではその電子機器の売れ行きの先行指数となるのが、半導体の代表的指数SOX指数の日足チャートです。
出所:Chartpark
先行指数である為、VNインデックスの切り上げ角度に比べて急速に切り上げ角度を上げております。
Windows10のサポート終了が2024年4月27日に発表されましたが、SOX指数はその発表と同時期を底値で反発し、その後の下落時の8月もその直近底値を割り込むことはありませんでした。
・2024年PCの出荷台数が2年連続のマイナスからプラス転換
これは実需ベースで半導体の出荷が回復することをYAHOOニュースが報じております。
出所:Yahoo! Japan ニュース
2022年の16.6%減と2023年の13.8%減と比べれば、2024年は大幅に回復したことが示唆されます。
2025年ベトナム経済への最大の懸念はトランプディールへの対応
いつも有益な情報を提供しているベトナム株 情報サイト 「 VIETKABU 」ではトランプ大統領誕生に、ベトナム株式市場はプラスで反応していることを報じております。
出所:VIETKABU
この記事は無料の記事の為、一読をオススメします。
トランプディールへの対応
・まずは安全保障上のリスクである対中政策を共有
ベトナム政府は米国と同じように中国を安全保障上のリスクと見ている点について認識を共有し、南シナ海の領有権問題などで同盟できる国であることを印象づけようとしております。
出所:産経新聞
このような政治的な認識の共有は必須ですが、これではビジネスマントランプ大統領の関税の矛先を交わすことはできません、やはり実利を示す必要があります。
・武器の購入先のロシア依存を下げ、アメリカからの購入に切り替え。
ベトナムの国防における武器の依存度は、圧倒的にロシアに依存してきました。
しかし、ロシアがウクライナへ侵攻して以降、同国はウクライナとの戦線に武器、弾薬などを供給する事すら難しくなりつつあり、他国に輸出する余裕は無い状況です。
ベトナム政府はロシアから調達が難しくなった武器について、その調達先の多元化を進めており、中でも米国はその有力な購入先です。

これはロシアの武器輸出へのダメージと米国製武器の輸出の二兎を追うものじゃ。
したたかなベトナムの戦略を日経新聞が報じております。
出所:日本経済新聞
・ビンファーストの米国工場建設
トランプ大統領がなんといっても喜ぶディールが、米国への投資、中でも工場建設は多数の雇用を生み出し、彼の人気に直結します。
出所:ベトナムフォトジャーナル
残念ながらこの計画は現在のEV自動車を取り巻く環境激変の為、2025年稼働から2028年稼働に延期されました。

工場労働者はトランプ大統領の中心的支持層だからアピール効果は大きいですね!
・ベトナムはアメリカから航空機、LNGの輸入を増加
昨年のベトナムの対米貿易黒字は約1000億ドル(約15兆1600億円)です、トランプ関税の標的にされる可能性は非常に高い公算です。
その前にベトナム流のディールを仕掛ける必要があり、Bloombergがそのニュースを伝えております。
出所:Bloomberg

べtナム政府はトランプディールに対して強かに対応してしていくはずじゃ。

このような動きからベトナム政府は高いGDP成長目標を掲げているのですね。
ベトナム情報サイト、「 VIETKABU 」では2025年のベトナム政府の高い成長目標を伝えております。
出所:VIETKABU
2025年ベトナム株注目セクター3選
やはり外せないITセクター
・FPTは本命中の本命
どこの企業でも共通する悩みである社員の教育、社内研修などを充実させても、なかなか人は育たないものです。
私がFPTに注目する最大のポイントは、この人材教育に力を入れている点です。
それは企業の成長速度を飛躍的に伸ばしていくことに繋がりと考えます。
ベトナムの有益な情報サイト 「 VIETKABU 」はFPTが人材教育に非常に力をいれていることを紹介しております。
出所:VIETKABU
同社は特にSTEM(科学、技術、工学、数学の統合的教育)、AI、ロボティクスなどの高度な技術・知識分野に重点を置くそうです。
これは日本の高等専門学校(高専)を小、中、高校まで拡大したような取り組みです。
そして同社が2006年に設立したFPT大学は海外の評価機関から高い評価を受けております。
出所:FPTSOFTWARE
小学校から大学まで一気通貫で徹底したIT教育を受けた人材が、毎年途切れることなく同社へ供給されてくるのでは、他社がどんなに社員教育を急いでも勝ち目はありません。
これは数値によってあらわすことは難しいですが、人的資本の豊富さがこの会社の強みであると考えます。
・AI普及でデータセンターニーズが加速、その追い風を受けるCMC
FPTと双璧をなすIT銘柄といえばCMCコーポレーションです、
出所:CMC Japan
同社は特にデータセンター市場に力をいれております。
ではデータセンター市場はどのぐらい拡大していくのか?、日本経済新聞がその急激な市場拡大の状況を伝えております。
出所:日本経済新聞
しかし株価はFPTと比べ、特に昨年7月以降力不足を否めません。
CMC株価チャート
出所:SBI証券
FPT株価チャート
出所:SBI証券
その理由は第二クォーターにあたる2024年7月‐9月期のPERが32倍と割高感が否めません、2024年度のFPTのPERが25倍なので、この差が株価の動きに影響していると思われます。
CMC財務内容
出所:VIETSTOCK
赤枠で囲んであるところがPERです、割高感がある32倍です。
もう一つ見逃せないのが、緑枠で囲んだ負債額の増加です、キャッシュフロー計算書が開示されていないので明確にはわかりませんが、おそらくデータセンターの設備投資によるものと推測されます。
そうであれば、いずれその投資した設備が利益貢献するはずですので、今の株価低迷はむしろ買い場との見方もできます。
Gゼロの時代に輝きを増すのはゴールド、PNJ
ゴールドの価格上昇が止まりません。
出所:世界経済のネタ帳
・Gゼロが加速させる金の価値
Gゼロとは国際政治学者イアンブレマーとデビットゴードンにより提唱された定義で、欧米の影響力低下と発展途上国の国力増加による政治的空白を意味します。
つまりグローバルリーダーシップとなる国が存在しない状態です。
トランプ政権になってからのアメリカを見れば理解し易いと思います、自国の利益最優先で他国の状況など考慮しておりません。

これからトランプに振り回され国が増えそうじゃ。
そのような国の通貨が基軸通貨で、しかもどの国も外貨準備に占めるドルの割合は非常に高いのです。
トランプ大統領が好むドル安を加速された場合に、外貨準備が目減りしますので、各国中銀がこぞって価値保存の為にゴールド購入に積極的になっております。
・中国の積極的なゴールド購入
SWIFTからの排除に備える中国、ではSWIFTとは何かについて日本経済新聞が伝えております。
出所:日本経済新聞
ロシアがウクライナに侵攻した際に、国際決済機関SWIFTから排除され、事実上国際取引の決済機能が失われ経済的に大打撃を受けました。
中国が台湾に侵攻する際に、同じようにSWIFTから排除される経済制裁を受けることが予想されます、その時は中国通貨元の価格も暴落してしまいますし、そもそも元での支払いを受け付けない国もあるでしょう。
その為、国際取引の決済手段として金を使用することを中国は目論んでいると考えます。
・米国株の過熱感が金をポートフォリオに組み込む動機に
中国のAIスタートアップ「 Deepseek 」の出現で米国のエヌビディア株の時価総額91兆円を吹き飛ばしました。
出所:DIMOND ON LINE
これは一部のテック銘柄が牽引する米国株式市場に加熱感が高まっている証左です。
そこで株式や債券などの値動きと連動性の低いゴールドをポートフォリオの組み込むことでバランスをとる動きがゴールド高騰の一因になっていると推測されます。

ポートフォリオは分散が大事ですから!
ゴールドを取り巻くこのような環境からベトナム株においてもゴールド関連銘柄は注目に値します、その銘柄はPNJフューアンジュエリーです。
この銘柄はボラティリティーの激しいベトナム株の中では、ショックに強い銘柄です。
出所:SBI証券
特筆すべきは米国FRBの金融引き締めに金融政策を転換した2022年に、ほとんどのベトナム株は暴落に見舞われましたが、この銘柄は無傷どころか若干年初よりも株価を上げてその年を締めくくりました。
この銘柄は株でありながら株や債券と連動性の少ない金と同じような値動きを見せる特異性を備えており、この銘柄をポートフォリオに組み入れることはゴールドを保有しているのと近い意味を持ちます。
ましてや、ゴールドに配当金はありませんが、この銘柄は配当金まで出してくれます。

確認できる2009年~2025年まで途切れることなく連続配当している点も注目です。
もはや秒読み段階、新興国市場への格上げが証券会社セクターに追い風
ベトナムの有益な情報を伝えるサイト「 VIETKABU 」では、遅れていた韓国証券取引所が開発した新売買システムの運用開始を報じております。
出所:VIETKABU
私はベトナム株式市場がフロンディアから新興国株市場へ格上げされれば、集まる資金も増加し、取引量も増える為、多くの証券会社株に追い風になると思います。
その中でも気になりつつある銘柄2選をご紹介します。
SHS:サイゴンハノイ証券
この1年間かなり外国人投資家に売り込まれた銘柄ですが、2024年の決算は目の覚めるような好業績をあげております。
出所:VIETSTOCK
業績が低迷した2022年をボトムに2023年、2024年と2年連続急速に業績を回復させております、一方でこの1年間売り込まれた株価により、PERは10倍とかなり安値に放置されております。
しかし株価は業績に敏感に反応しだしたことが、株価のゴールデンクロスから理解できます。
出所:SBI証券
FTS:FPT証券
こちらも業績は堅調な伸びを示しており、2024年の大半をボックス圏で動いていた株価もそろそろ上値を抜ける動きが現れ出しております。
出所:SBI証券
今回初めて生成AIに下記FTS証券の1年間の株価の動きを分析させてみました。
出所:SBI証券
AIの回答は以下の内容です。
このチャートは、FPT証券(FTS)の株価の動きを示しています。以下はチャートの分析です:
株価の変動:
- 現在値:45,150
- 前日比:+2,800 (+6.64%)
- 始値:42,150
- 高値:45,000
- 安値:42,100
- 前日終値:42,000(2025年2月21日)
- 出来高:5,347,200
移動平均線(SMA):
- SMA 5(5日間単純移動平均)
- SMA 25(25日間単純移動平均)
株価の傾向:
- 株価は急上昇しており、45,000の高値を記録しています。前日比で6.64%の上昇はかなりの上昇率です。
- 取引量も非常に多く、5,347,200株が取引されています。これは投資家の関心が高まっていることを示しています。
市場の反応:
- 株価の急上昇と高い取引量は、何らかのポジティブなニュースや業績の改善が要因である可能性があります。
- 今後の動向を注視するために、ニュースや企業の発表に注意を払うことが重要です。
全体的に、FPT証券の株価は強い上昇トレンドにあり、投資家からの関心が高まっていることが伺えます。他に特定の質問や分析が必要であれば教えてくださいね。
以上がAIの回答です。
私がこのチャートを見た時に三角持合いの終わりが近づいていると感じましたが、AIもそれと同じように株価が上昇傾向にあることを報告してきました。
特にこの10日間は毎日のように、強い陽線が出現しており、上昇トレンド入りが始まる公算が大きいです。
出所:SBI証券
まとめ
ベトナム株2024年を振り返るとまさにボックス相場、しかし変化の兆しも現れ出した。
- ボックス相場の背景は市場を取り巻く不透明感。
- 相場に現れた変化の兆し、それは予想以上のGDP成長率と電子機器の輸出増が裏打ち。
2025年ベトナム経済最大の懸念はトランプディールへの対応。
- ディールへの対応①.中国への安全保障上のリスクを共有化。
- ディールへの対応②.武器輸入先をロシアからアメリカに切り替え。
- ディールへの対応③.ビンファースト米国工場の建設。
- ディールへの対応④.航空機、LNGをアメリカから購入。
2025年ベトナム株オススメセクター3選
- ITセクター :FPTとCMC
- ゴールド :PNJ
- 証券会社 :SHSとFTS
皆さんの資産と笑顔が溢れることを祈っております。
それではまた。
コメント