こんにちは、Q太郎です。
米国中央銀行による金融引き締め、中国のゼロコロナ政策、ロシアのウクライナ侵攻による欧州の高インフレにより、世界中のリスク資産からお金が逃げ出しております。
それは世界中の株価の暴落につながり、ベトナム株も例外ではありません。
それでも、株価の下落は永遠に続くことはありません。
まだはもう、もうはまだなり、株価の予想は難しいんじゃ
私はそろそろベトナム株は株価の底打ちが近いとみており、ではなぜそう考えるのか?
この記事ではベトナム株はこのまま下落の一途を辿ってしまうのではと不安な日々を過ごしている方にとって心の支えになれば幸いです。
目 次
VNインデックス高値の半値押しからの回復ならず
相場分析に半値押しはトレンドが変わる変化点になること多いことが知られております。
半値押しの1200vndを割り込んだその背景とは
半値押しとは、例えば株価100円の銘柄が200円まで上昇し、天井をつけて下落した場合に、上昇した幅100円の半分50円、つまり下落しても株価150円でトレンド転換し、再び上昇し易い傾向を表した相場格言です。
半値戻しは全値戻しも覚えておきたい相場格言ですね。
そのような視点でVNインデックスを眺めていた際にトレンド転換は1200vnd前後で起こるのではと予想しておりましたが、反発する気配はあったものの割り込みました。
ではなぜ1200vndを割り込んだのか、それは以下の2点ではないかと考えます。
- 米国のインフレ圧力の高止まり
- ベトナム中央銀行の政策金利引き上げ
9月の時点では米国のCPIは高止まりしており、金融引き締めの継続とその先にやってくるリセッション(景気後退)が懸念されるデータが公表されております。
出所:会社四季報online
一方、ベトナムでは噂されていた政策金利の引き上げが、9月22日に1.0%ポイントの大幅利上げで実施されました。
出所:CEIC
政策金利は2.5%から一気に3.5%まで急上昇して市場心理を冷やし、株価1200vnd割れに繋がったとみております。
金利が上がると企業はお金を借りるコストが増加して、投資を控えるようになり、これが景気を冷やすことになり、リスク資産の株から資金流出が起こりました。
ベトナムの金融政策は景気を優先
ベトナム政府はインフレ退治よりもドン安で輸出振興
世界中で吹き荒れるインフレの嵐を抑制する為に、各国は政策金利を引き上げて自国通貨を少しでも通貨高に誘導し、輸入物価高騰を抑え込み掛かっております。
金利の高いところにお金は集まる傾向だから、その国の通貨は人気が増して通貨高になります。
しかしベトナムでは9月の政策金利引き上げ後に、通貨ドンをドルに対しドン安傾向に誘導していることを以下の記事では伝えております。
出所:VIETKABU
この一見矛盾した政策について、師である邱永漢先生の言葉を思いだしました。
師曰く、「 輸入物価高騰は、壁打ちテニスをしているようなもの、強く打てば強く跳ね返り、弱ければ弱く跳ね返る、輸入物価高騰は輸出価格に跳ね返る。」
通貨は安ければいいというものでもないんじゃ
「 但し通貨高は輸出において最大の泣き所、通貨安で輸出を優先するか、通貨高でインフレを抑制するか、そこが政策手腕の問われるところなんですよ。」
私はベトナム政府はインフレよりも、景気を重視すべく輸出を優先していると考えます、それではインフレはどうするのか、その答えは3ヶ月前の政令公布から読み取ることができます。
通貨安でインフレ加速、ベトナム政府に秘策はあるの?
賃金が上がればインフレなんか怖くない
ベトナム政府は7月に賃上げについて、政令公布を実施しました。
出所:JETRO
また、賃金上昇の実際の恩恵が及ぶタイムラグが2~3ヶ月かかることを考慮すると、10月からのドン安誘導による物価高騰を和らげるには、7月公布は絶妙なタイミングでした。
日本では今年3.3%の上昇率、成長国と老齢国ではこんなに差がありますね。
次のグラフは通貨ドル/ドンのチャートになります、10月から意図的にドン安に誘導していることが読み取れます。
出所:Investing.com
いつもベトナムの有益な情報を提供されているVIETKABUサイトで、ある記事が目に留まりました。
出所:VIETKABU
CPI(Consumer Price Index)消費者物価指数とは、消費者が購入する各種の消費やサービスの小売価格の変動を調査・算出した経済指標です。
簡単に言うと、物の値段が昨年同月比や前月比で下がっているのか、上がっているのかを%で表したものです。
欧州の10%超のCPIに比べれば、アジアはまだ低インフレなんじゃ
つまりベトナムでは市民が買い物をする際に、支払いが昨年同月比で+3.94%増加しているが、一方でお財布は6%膨らんでいるのです。
従って世界中の人がインフレにより痛みを受けている一方で、ベトナム市民はほとんどインフレによる痛みを感じていないことがこのデータは示唆しております。
ベトナムの金融政策に市場はどのような反応を見せるのか?
ベトナムと同じような、金融引き締めと金融緩和の矛盾した政策を実行し、市場の逆鱗に触れた国がありました、それはイギリスです。
出所:東洋経済online
イギリスでは株安、通貨安、債券安のトリプル安が発生、首相が辞任する事態に陥りました。
市場は概ね政府の金融政策を支持
ベトナムの金融政策に対し、市場は概ね政策を支持しているようです。
出所:SBI証券
10月10日以降、ベトナムの代表的な指数VNインデックスは下げ止まりつつあり、ベトナム政府の金融政策は市場から支持された公算です。
まとめ
- 7月の最低賃金引上げは10月からのドン安インフレのヘッジ策だった。
- ベトナム政府はインフレ退治よりも、景気優先、輸出促進。
- ベトナム金融政策に市場は概ね支持
つまりこれから次のサイクルが加速していく公算です。
世界中で吹き荒れるインフレに人々はできるだけ安いものを買うことで生活防衛を図ります、それは製造コストが安く、通貨も安いベトナムに取っては追い風です。
インフレの国ではやはり安いものに人気が集まることを次の記事は報じております。
出所:日本経済新聞
VNインデックスチャートに下げ止まりの兆候が表れだしたのは、市場に漂う霧が晴れつつある何よりの証左でしょう。
皆さんの資産と笑顔が溢れることを祈っております。
それではまた、対酒当歌人生幾何。
コメント