こんにちは、Q太郎です。
現在ベトナム株は株価の大幅な調整を受けて、下げに下げております。
賢い投資家はこの下げが長くは続かないことを見越し、既に銘柄の物色に動きだしているころだと思います。
下げている時こそ、ナンピン買いじゃ
しかし、現在最も投資を控えるべきセクターとして警鐘をならしたいのは不動産セクターです。
この記事では、新興国株成長株投資では鉄板のセクター、不動産セクターに興味がある方にとって今は投資するタイミングではないことをお伝えする内容です。
目 次
ベトナム不動産銘柄に逆風の時代
社債発行額が示唆する政府の不動産投資引き締め
いつも有益な情報を提供されているVIETKABUで興味深いニュースが目に留まりました。
出展:VIETKABU
この記事ではベトナム債券市場協会によると、2022年4月の社債発行総額が16兆4720億VND(約940億円)でした。
しかし驚くべき点はこれまで社債発行の最多セクターをほこっていた不動産会社が皆無だったことです。
わずか2ヶ月前の記事では、2021年の社債発行額に占める不動産会社が最大だったことを伝えております。
出展:VIETKABU
中国株投資をしていた時にも経験しましたが、社会主義政権下では日本のような民主主義社会では想像することができない程素早く、政府の意向が金融政策に反映されます。
この記事ではベトナム政府は明らかに不動産市場の過熱を抑制する為に、不動産会社による社債発行を厳格化しております。
相場の格言は傾聴に値しますね
相場格言に「 政策に売りなし 」、「 政策に買い無し 」、国の政策には投資家は勝てないことを注意する必要があります。
不動産銘柄の第一Qの業績に影が現る
不動産セクターのヒートマップは下落を示す赤色が増加しております。
出展:VIETSTOCK
主要不動産会社5社の2022年第一Qの業績は以下の通りです。
上段は2022年第一Q、下段は2021年第一Qになります。
VHM ビンホームズ
前期2021年Q4比で売り上げも利益も半減しております。
NVL ノバランド不動産投資
出展:VIETSTOCK
2021年Q4比で純益こそ増えておりますが、売り上げも営業利益も半減しております。
VRE ビンコムリテール
出展:VIETSTOCK
2021年Q4比こそ増加しておりますが、前年同期比では売り上げも利益も50%弱程減少しております。
PDR ファットダット不動産
出展:VIETSTOCK
こちらも売り上げと利益が半減しております。
KDH カンディエンハウス
出展:VIETSTOCK
KDHにいたっては、2021年第四Q比で売り上げが4分の一、営業利益で6分の一になっております。
第一Qは旧正月の影響により前年第4Qから下落する傾向にありますが、その下落幅、前年同期比での下落を考慮すると、このセクターへの投資は慎重になるべきかと思います。
私は不動産市場に忍び寄る潮目の変化を感じ、PDRファットダット不動産株の7割近くを先月処分しました。
不動産バブルの出火元は中国
2015年以降右肩上がりの中国不動産価格
中国の不動産価格は2015年のチャイナショック以降も、着実に右肩上がりで推移してきました。
以下のグラフは中国不動産価格(㎡)の推移になります。
出展:PRESIDENTonline
政府の規制がもたらす潮目の変化
中国政府はこの急激な価格高騰を抑えるべく、不動産開発業者に対する規制「 3つのレッドライン 」を2020年8月に実施しました。
その規制がお金の逆流を招き、翌2021年の中国恒大集団のデフォルトリスクの高まりにつながりました。
ここで覚えておくべき重要なポイントは、政府の政策に市場は予想以上に大きく反応することです。
バブルは弾けて初めてバブルと知るものなんじゃ
それはバブルの色合いが強ければ強い程、その反動は大きくなります。
中国で始まった2020年の規制強化により、2021年は中国不動産マネーが周辺国に流れこむことが危惧されました。
中国不動産マネーが周辺国の不動産を物色
次は2020年の中国政府の規制強化の影響により、2021年になると中国不動産マネーが周辺国を物色し始めていることが伺える記事です。
出展:NHK
この記事では北海道の不動産を物色している資金の国別の割合も紹介されておりました。
出展:NHK
この記事では中国マネーが他の国と比べ圧倒的に多いことが報告されております。
このような中国不動産マネーがベトナムにも流れこみ、不動産価格高騰とそれを危惧したベトナム政府の規制強化の流れにつながったと推測されます。
ベトナムの不動産市場も中国と同じように長期低迷するのか?
ベトナムの不動産株は今年は大きく調整すると予想しております、しかし成長し続ける新興国において不動産は必ず価値が上がるアセットです。
PwCはベトナムの未来は明るいと予想
ベトナムの不動産市場の未来は長期的には明るい
次の資料は世界最大のプロフェッショナルサービスファームである、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とアーバンランドインスティテュート(ULI)が共同発表している2022年度アジア太平洋地域に対する不動産動向調査報告書からの抜粋です。
資料が膨大の為、ベトナムの不動産の未来について関連する部分を抜粋しました。
出展:pwc
現在の米国の金融引き締めにより多くのリスクマネーがシュリンクしており、ベトナム株もその煽りを受けて、下げに下げております。
お金は相対的に金利が高い国に引き寄せらるんじゃ
前述した中国不動産マネーの影響もあり、ベトナム株の中でも特に不動産株は長期的に影響があると思います。
とわいえバブルが激しい中国でさえ2021年調整を受けて、既に2022年には規制緩和に動きだしておりますので、ベトナムの不動産株は半年、長くても1年以内には調整を終えると予想します。
スキャンダルと構造的問題は別物
不動産市場に変調の気配が漂う3月末に不動産開発会社FLCの会長であるチン・ヴァン・クエット氏は株価操作の疑いで逮捕されました。
出展:KILALA
私はこの問題は不動産市場の調整が生み出したいろどりの1つで、これ自体が大きな問題ではないと考えます。
むしろこのような問題が表面化すること自体、不動産市場が浄化されている証左だと考えます。
このような問題が表面化すること自体が健全なんじゃ
国の経済が発展している過程ではこのような問題は珍しくありません。
身近な日本では、1988年のリクルート事件を思い出されます。
出展:ウィキペディア
この事件でリクルート社の会長、江副浩正氏は逮捕されましたが、その後リクルート社は大きく成長し、現在に至っております。
このような問題はスキャンダルであり、会社の屋台骨を揺るがすような問題ではありません、従ってこのスキャンダルによるFLCの株価低迷は長期で見れば絶好の買い場とみることができます。
スキャンダルと構造的問題は全然別物なんですね
このようなスキャンダルと対比すべきは、構造的問題です。
今月、日本を代表するオーディオ機器メーカー、オンキョーホームエンターテイメントが倒産しました。
出展:東洋経済ONLINE
2000年代から始まるスマートフォンの普及により、オーディオ機器で音楽を聴く人は激減しました、このような構造的問題の前に、過去にどんなに栄華を極めた企業でも抗うことはできません。
従って株式投資をする上で、スキャンダルと構造的問題は決定的に異なることを理解することが大切です。
暴落する不動産セクターでオススメの戦略、それは高配当株投資
ベトナムの成長は始まったばかりで、今回のような調整局面はありますが、これも時が過ぎ振り返ると絶好の買い場だったことに気づかされます。
ベトナム不動産市場はまだまだ売り手市場
次の記事ではベトナムの不動産在庫がコロナ禍の影響で激減していることを報じております。
出展:GlobalPropertyGuide
世界の不動産市場の動きを伝える有益なサイト、GlobalPropertyGuideではベトナムはまだまだ不動産の売り手市場であることを伝えております。
・日本語訳
ベトナム:低供給が不動産価格を押し上げ、先行きは依然不透明
ベトナムの住宅用不動産価格は上昇を続けている。しかし、コロナ禍の大流行により、需要・供給ともに例外的に少ない。Savillsによると、2021年第3四半期、アパートの一次在庫はホーチミンで前年同期比70%、ハノイで27%という大幅な急減を記録した。
株価が下げてるところを購入するのが高配当株投資
しかしながら長期的には回復するといえ、低迷が予想されるセクターの株を購入するには心理的に抵抗があります。
しかし物の見方を変えてみれば、株価の下落は利回りの改善になります。
私は不動産銘柄で以下2銘柄を保有しておりました。
- PDR ファットダット不動産
- NTL トゥエリム都市開発
PDRは高成長銘柄、NTLは高配当銘柄です、先月PDRの7割近い株数を売却しましたが、NTLは一切売却しておりません。
株価が下がれば高配当銘柄に投資妙味がありますね
現在の株価調整によりNTLの予想配当利回りは10%になりました。
いずれ不動産市場は回復し、不動産銘柄も成長軌道にもどるまでは、高い配当利回りが心の支えとなります。
まとめ
ベトナム政府による社債発行の厳格化により、不動産株の業績は軒並み低迷しております。
その背景にあったのが、中国不動産バルブ崩壊で、行き場を失った中国マネーの周辺国への流入です。
お金は絶えず増殖できる苗床を探し続けるんじゃ
当面の間、不動産株は低迷することが予想されますので、購入は控えたほうが良さそうです。
一方それは同時に高配当銘柄を手にいれる絶好の買い場となる公算です。
皆様の資産と笑顔が溢れることを祈っております。
それではまた、対酒当歌人生幾何。
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