こんにちは、Q太郎です。
新興国、特に加工貿易立国における港湾、海運セクターへの投資は失敗が少ない投資です。しかし加工貿易立国でも成り立ちが社会主義を背景にする国では1点注意が必要です。
師曰く、「 鉄道や港など、国の重要なインフラの運営を託されているからといってその会社を過信してはいけません、そのような会社は以前国営だったものが多く、国営の体質が残っていれば、どんな資産も猫に小判なんですから。」
目 次
ベトナム2021年1~3月も貿易額の増加が止まらない
いつも有益な情報を提供されているVIETKABUサイトに興味深い記事を発見しました。
出典:VIETKABU
この記事ではベトナムの貿易額について、次のことが報じられておりました。
- 2021年1~3月の輸出額は前年同期比+23.7%増の784億0100万USD(約8兆6240億円)
- 輸入額は同+26.8%増の756億0700万USD(約8兆3170億円)
- 同期の貿易収支は27億9400万USD(約3070億円)の黒字
昨年はコロナ禍でありながら貿易総額の増加と収支の黒字を達成しております、その流れはコロナ禍の終息が進めば、今年は更に加速していく公算です。
このような貿易額増加の背景にあるのは、諸外国からの投資の増加です、その重要な指標であるFDIについて次の記事が目に留まりました。
出典:VIETKABU
この記事では2021年1~3月の海外直接投資(FDI)について、次の内容が報じされておりました。
- FDI認可額(推定値)前年同期比+18.5%増101億3055万USD(約1.12兆円)
- 同期の実行額(推定値)は同+6.5%増の41億USD(約4550億円)に増加
- ベトナムへの投資額ランク、国別では1位:シンガポール、2位:日本
FDIとはforeign direct investment(海外直接投資)の頭文字をとったもので、ベトナムに工場や会社を作ったり、ベトナム企業への投資などを通じて事業を営む海外企業からの資金の流れを表したものです。
これは新たな冷戦と呼ばれる米中貿易戦争をきっかけに、企業がネクスト中国を模索していることが根底にあることが伺え、ベトナムはしたたかに漁夫の利を得ている証左です。
国営の血は不人気
私は2月2日のブログで港湾銘柄をいくつかご紹介しました、その銘柄中最も2020年の決算内容に好感を抱き、2021年1~3月の貿易額増加の恩恵を受けて反発を予想したのがCDNダナン港です。
これはCDNの2020年の業績になります。( 単位:100万VND )
CDN ダナン港 : 売上 904,303 (+9.7%)営業利益 258,458(+16.6%)
売上、営業利益の増加は2020年の貿易額の伸び率、輸出+7%、輸入+3.7%を大きく上回っており、2021年1~3月の貿易額の増加が確かなものとなれば、株価の上昇が期待されましたが、結果は期待に反した状況がつづいております。
次のチャートはCDNの株価の推移になります。
出典:VIETKABU
1~3月の貿易額が昨年同期比20%以上の増加が伝えられるさ中、4月にはいっても株価の下げトレンドは続いております。
この銘柄を調べた際に1点気になるところがありました、それは前述の師の戒めにもある国営の血の匂いです。
この会社はベトナム航海総公社(ビナラインズ)の傘下企業であり、その影響を多分に受けていることです、ベトナム航海総公社(ビナラインズ)とはベトナム最大の国営海運会社です。
次の記事はベトナム航海総公社がどれぐらい不人気であるかを示す1例です。
出典:VIETKABU
少し古い記事ではありますが、ベトナム航海公社のIPOが落札1.1%と驚愕の落札率で失敗に終わったことが伝えられておりました。
CDNはこの不人気な公社の傘下企業であれば、効率的な経営は期待できない為、貿易額増加の恩恵にあずかることは難しいと考えます。
国営の血筋を避ける新興国株投資の師の教えは現在も鉄則であることを実感します。
望外の株価暴騰、民間の血が効率経営を加速
2月2日のブログでTMSトランシメックスサイゴンをご紹介しました、こちらは民間の血が多分に投入された企業です。
同社は昨年第三クォーターまでの営業利益の合計が、2019年の通年の営業利益を上回っており、2020年の最終業績に期待が高まりました。以下は同社の2020年の業績内容です。
出典:VIETSTOCK
売上は+46.0%、税引き前利益は+44.1%、EPSは+14.2%の好業績を残しております。これを受けて株価は予想通りの動きを示しております。
出典:SBI証券
黄色のレ点が私が2月2日に同銘柄をご紹介させていただきました時点の株価35,500VNDです、先週末4月16日時点で54,400VNDをつけており、その上昇率は約3ヶ月で+53.2%と期待以上の上昇を示しております。
同社は日通ベトナムに50%出資する一方で、昨年岡山県に本社がある各種運輸事業を手掛ける両備ホールディングスの子会社により株を23.7%保有された為、同社を筆頭株主として迎えいれることになりました。
民間企業の血が効率化と業績向上、そして望外の株高につながっている為、3月下旬からの調整局面はナンピンの絶好のチャンスです、第一Qの結果を待たず株価が動意づくこともあり、これからの1ヶ月は株価から目が離せません。
それではまた、対酒当歌人生幾何。
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